団地に入居しようと検討していて、最初に「県営住宅」と「市営住宅」の何が違うのかを疑問に感じる方が多いと思います。
同じような住宅に見えても実は様々な違いがあり、その違いを把握できていないと団地に入居できるチャンスを失ってしまうかもしれません。
初めて公営住宅に入ろうと思っても何がなんだかサッパリ分かりませんよね。僕自身も当時は分からないことだらけで色々と失敗しました。
「県営住宅」と「市営住宅」の違いについて体験談を元に解説していきます。
住宅の持ち主が違う
「県営住宅」と「市営住宅」で大きく異なる点が住宅の持ち主の違いです。
- 県営住宅:県が所有している住宅
- 市営住宅:市が所有している住宅
県営住宅とは、「国の補助を受けて県が建設・整備」をした住宅に困っている低所得者向けの賃貸住宅です。
市営住宅とは、「国と市が協力して建設・整備」をした住宅に困窮している比較的収入の少ない低所得者の方向けの低家賃住宅です。
どちらも「低所得者向けの賃貸住宅」に違いはなく、提供してもらう住宅の築年数や広さ、世帯収入(政令月収)などに応じて家賃が変動します。
「家族が増えて手狭になった」の理由でも住宅に困っているとされていて、家賃は自治体からの補助により近隣の相場よりも安く、収入が少なくても住みやすいのが特徴です。
つまり、「県が持っている住宅」と「市が持っている住宅」の違いだけで、「収入が少ない人向けの低家賃住宅」という点での変わりはありません。
管理や窓口は指定管理会社が行う
「県営住宅」と「市営住宅」の管理運営・窓口をしているのは、どちらも「指定管理会社(住宅供給公社)」です。
そのため、県や市の職員とは直接話をする機会がほとんどありません。住居についての問い合わせや抽選の申し込み、鍵の受け取りまでを指定管理会社を通してやり取りをします。
つまり、管理会社の担当者が窓口になって相談しますので、県と市のどちらの方が対応が良く親身になってくれるか?という心配は不要です。
県営住宅と市営住宅の「どちらが良いか」というよりも、どこに団地が建っている(立地条件)や設備、築年数、住みやすさを重視しましょう。
ちなみに指定管理会社は県をまたいで住宅を管理していることがあり、隣県の団地に住んでいる親戚と僕が住んでいる団地の管理会社は同じです。
役所関係の人間は横柄な態度を取るイメージでしたが、担当者は意外と愛想が良くて普通にアドバイスをしてくれます。
例えば、本審査で提出する書類に賃貸住宅(旧居)の家賃を滞りなく支払っているかの確認に銀行通帳のコピーが必要です。
僕は楽天銀行のネットバンクで送金していて通帳自体がありません。どうしたら良いのか問い合わせると「画面のスクリーンショットを印刷してください」と丁寧に教えてくれました。
管理会社へ不明な点を問い合わせても、しっかりと質問に答えてくれます。分からないことや困ったことがあれば、まずは管轄の管理会社に電話で問い合わせてみると良いですよ。
主な入居条件の違い
兵庫県尼崎市の場合は次のような入居条件を設けています。
2以上世帯
- 兵庫県内に居住地あるいは勤務場所(県外でも一部可)
- 家族構成が夫婦または親子関係
- 入居資格収入基準に合致する
- 住宅に困っている
- 危ない人ではない
- 敷金(3か月分)を支払いできる
- 入居期限までに申込書記載の家族全員が入居できる
- 連絡人を立てられる方
- 入居に必要な書類を提出できる
単身世帯
- 60歳以上や障害のある方などは単身で申込みできます。
2人以上世帯
- 申込開始日現在、尼崎市在住または勤務場所
- 家族構成が夫婦または親子関係(単身住宅あり)
- 入居資格収入基準に合致する
- 住宅に困っている
- 危ない人ではない
- 入居指定日から15日以内に入居できる
- 連帯保証人がある
- 敷金(3か月分)を支払いできる
- 入居に必要な書類を提出できる
単身世帯
- 60歳以上や障害のある方などは単身で申込みできます。
入居条件(入居資格)に関してはほとんど同じで、県または市在住で入居資格基準に合致すれば申し込むことができます。
県営住宅は「県内在住の方」が対象となり、県内広域から希望する団地を選択することが可能です。市営住宅は「申し込み開始日時点で市在住または勤務場所の方」が対象です。
今住んでいる同市内の団地に入居を希望する場合は、市内で入居を募集している「県営住宅と市営住宅の両方」の中から選べます。
主にファミリー向けの募集が多く、一部は「3人家族以上」などの条件が付くことも。条件を満たせば部屋数の多い住宅に安く住むことができます。
遠くへ引越しすると子供が通っている学校や園の転校・転入をせざるを得ません。特に保育園は待機児童が多くて、移り住んでから順番待ちで入れないことも考えられます。
我が家ではそうならないように同市内の同町で団地を探しました。選択できる範囲が狭くて住居の選り好みはできませんが、時と場合によっては近場から選ぶことも一つの策です。
引越しをすると職場や駅の近さが変わり、通勤時間が長くなることも考えられます。
家賃が安くなっても「すごく早起きしないといけなくなった」など、生活パターンが悪化しないように気を付けてくださいね。
抽選日の違い
- 毎月、1回抽選
- 毎年、5月と11月に抽選
兵庫県営住宅では毎月中旬に抽選会が行われており、次回の抽選までの間隔が短いです。一方、尼崎市営住宅では、5月と11月の年2回しか抽選会が行われていません。
例えば、6月に団地への引越しを検討し始めると市営住宅は次回抽選日が11月です。申し込もうとする時期によっては待機しているだけの期間が長くなってしまいます。
最初は県営住宅と市営住宅の抽選日に違いがあることを知らなくて、年2回の抽選日まで待機してしまうところでした。
できる限り早く団地に入居したかったのに年2回の間隔は長すぎます。
よく調べてみると県営住宅は月1回のペースで抽選をしていました。あらかじめ抽選日を知っていればもっと早く入れたということも考えられますね。
抽選回数が少ないと倍率が上がる恐れも
待機している期間が長いということは、その住宅を検討する人が多くなり人気物件は応募者が集中する傾向(抽選倍率が上がる)があります。
募集戸数5に対して応募者99人(=倍率19.8倍)になったことも
時には100倍以上の倍率になることもあります。余程の強運でないと当たる気がしませんね。
収入が少なく困っていて、県営住宅と市営住宅にさほど差がないのに最大半年間も待機するのは最善とは言えません。
さらに、その抽選に外れてしまうと入居できるまでの期間が長くなってしまいます。そのため、尼崎市民は必然的に「月1回抽選の県営住宅」に申し込む世帯が多いです。
実際に市営住宅に申し込みましたが、残念ながら落選(失格)となってしまい、次回抽選日までの期間が長いため県営住宅に申し込むことになりました。
抽選日に違いがあると知らなかったらハイツ(前の住居)で高い家賃を払い続けていたことになります。
団地とハイツでは月々約5万円もの家賃差があり、次回抽選に当選したとしても半年間で30万円も差がでます。これだけ違うと大きいですね。
収入が低く住宅に困っていたので低家賃はありがたいです。今住んでいる県営住宅で何も問題がなく、結果的に市営住宅に落選して良かったと感じています。
お住いの地域自治体によって抽選日や抽選回数が異なります。よく確認しておきましょう。
まとめ
県営住宅と市営住宅の違いをまとめます。
- 住宅の所有者が違う
- 県営は県在住者対象、市営は市在住者対象
- 入居条件はほぼ同じ
- 抽選日や抽選回数が違う
繰り返しになりますが、抽選日や抽選回数は同じ県内でも市によって大きく異なり、例えば兵庫県神戸市営住宅では3か月ごとの「2月・5月・8月・11月」に募集をしています。
団地への入居を希望する時は、管轄する地域の役所または管理会社に確認してみてくださいね。