手軽に“ひんやり感”を得られる冷感スプレー。Yシャツ、Tシャツ、肌着、ズボンなどにシュッと吹きかけると冷たさを感じられて心地良いです。
最近は香り付きや強クールタイプ、虫よけ成分入りも登場しており、各メーカーからたくさんの種類が販売されるようになりました。
たまたま立ち寄ったドラッグストアのウェルシアでも数種類の冷感スプレーが入り口付近に陳列されていて、夏に向けて売れる人気商品だと推察できます。
そこで今回は、前々から気になっていた強クールタイプの冷感スプレーがどれ程の冷たさなのか?涼む目的として使えるのか?を確かめてみました。
アイスノン「シャツミスト」の冷涼効果
- 衣類にスプレーするだけ
- クール成分(メントール、乳酸メンチル)配合
- 衣類についた汗のニオイを消臭・除菌
- エキストラミントの香り
- たっぷり300mlの大容量
- 詰め替えパックあり
- 使用できない素材:
革・毛皮・人工皮革・和装品 - 1カ所に1回の噴霧が目安
- 成分:
エタノール、ℓ-メントール、
乳酸メンチル、緑茶エキス、
除菌剤、香料 - 販売元:白元アース
使い方は衣類の首回りや脇部分などにスプレーするだけで簡単。
エキストラミントの香りは、清涼タブレットのミンティアを濃くしたようなニオイでした。
スプレーハンドルをロックするパーツを毎回取り外さなければならないのは少し手間だと感じました。ノズル部分が回転してON/OFFできたら手軽で良かったのに。
購入価格はウェルシアで税込798円です。家に帰ってAmazonで確認すると記事投稿時点でプライム会員は送料無料の税込634円…。
お店には申し訳ないですが、だいたいAmazonの方が安くて買ってから後悔します。
しかし、本格的に暑くなる時期は需要増加に伴いネット価格が高騰するようなので、定価以上のところからは買わないように注意してくださいね。
汗をかく(湿る)と涼しく感じる
今回は、肌着として使うメッシュタイプのシャツにシャツミストを吹きかけてみました。吹きかけた場所は首回りと脇部分です。
ビュッ!!
ハンドルを握ると思っていた感じではない出方をしました…。もっと霧状で噴霧するものだと…。
パッケージの説明にも書いてあるのですが、ゆっくりハンドルを握ると霧状にならない場合があるとのこと。「効きすぎて寒くなったらどうしよう」とビビると失敗するので、勢いよく握りましょう。
肝心の冷感効果は、最初の10分くらいは冷たく感じました。しかし、それ以降はあまり冷たさを感じず、メンソレータムを塗ったような弱いスースー感しかしません。
この理由は記事執筆時点で室温27℃のため、汗をかいておらずメントールの成分が十分に皮膚に広がらなかった(伝わらない)のだと考えます。
そこで、シャツの脇部分に水道水を使って少し湿らしてみると冷たさが大復活!冷たく感じる時間は30分~1時間程度に長続きしました。
本格的に暑くなった頃には汗で自然と冷たさが広がると思います。冷たさのレベルは冷たい飲み物が入ったグラスを脇の下に当てる感じ。
少し大げさかもしれませんが、冷感スプレー強クールタイプの“ひんやり感”は強くて涼めると体感しました。
湿らせたタオルにシャツミストをかけて首に巻くと最高
メントールの涼しさを最大限に感じるには、ある程度の水分が必要なようです。
ということは、水で湿らせたタオルを固く絞ってシャツミストを吹きかけると良いのでは?と思い試してみると正解でした。
タオルを固く絞ってから全体に馴染むように3プッシュ。
タオルが湿っているので気化熱としての効果もあり“ひんやり感”が長続きします。そして、首元の皮膚が薄そうな部分は冷たさを強く感じました。
これは良いですね。エアコンのない自室にこもる時に使おう。
家の中にいる時、スポーツ時、農作業時、スーパーに買い出しに行くような見た目を気にしない外出時などは、汗対策で首にタオルを巻くこともあるかと思います。
そんな時にアイスノン シャツミストを吹きかけたタオルはおすすめです。
ただし、メントール成分は1℃も温度を下げない
肌に直接かけてはいけないのですが、実験として腕に直接シャツミストを吹きかけて「表面温度の変化」を計測してみました。
室温27℃、汗をかいていない状態での腕の表面温度は33.3℃です。
腕にシャツミストをかけて塗り伸ばすと30.2℃まで下がりました。約-3℃の冷却効果です。
しかし、これはシャツミストに配合されている成分の「エタノール」と「その他溶液」が気化して腕の熱が奪われただけです。
液が完全に乾くと徐々に元の温度に戻っていきます。
ミント成分が含まれたガムやお菓子は「スースー」して口の中は涼しくなりますよね。ところが、メントール成分に温度を下げる性質はなく、1℃も温度は下がらないのです。
ミントとハッカ、口に入れるとスースーしますが、この時口の中の温度は本当に下がっているのでしょうか?論より証拠、サーモグラフィーで見てみました。すると口の中の温度は全く下がっていなかったのです。
引用元:知識の宝庫!目がテン!ライブラリー
体には温度刺激を感じ取る「TRPチャンネル」というセンサーが備わっています。このセンサーにメントール成分の刺激が加わると、冷感センサーが反応して涼しく感じるようになります。
つまり、メントールで「涼しい」と脳を勘違いさせているようなものですね。脳は「体が涼しい」と判断するため、体温(気温)が高くなっても汗をかかないそうです。
体中にメントールを塗りたくると凍えるほど寒く感じますが、体温は1℃も下がらず汗をかかなくなるため、外気温が高すぎると「寒いのに熱中症になる」ことも考えられます。
まとめ
大手メディアサイトでは、冷感スプレーが「熱中症対策になる」と書かれていることが多いですが、成分や効果を考えると「熱中症対策にならない」と思います。
熱中症予防対策に詳しい大学院教授が答える記事にも、以下のように書かれていました。
「アルコールやメントールといった“涼感物質”が入っています。たしかに皮膚表面の体感温度を下げてくれますが、実際には体温を下げているわけではありません。皮膚と脳を“涼しい”と錯覚させているというのが正確です。
すると脳が発汗の指令を出さず、結果として体温がどんどん上昇してしまうので、熱中症にかかりやすくなるケースがあります」
引用元:NEWS ポストセブン 熱中症対策「冷感スプレー」や「冷却シート」の落とし穴
夏を快適に過ごす簡単な方法として冷感スプレーは効果的です。
しかし、“ひんやり感”を過信するのではなく水分補給や体温管理、適度な休憩を心がけるのが先決です。