古い団地のお風呂はシャワーが付いていないことがあり、浴槽に水を貯めてからお湯を沸かして、手桶で頭や体を洗い流す「昔ながらのスタイル」を取らなければなりません。
手桶は洗い流すのに時間がかかりますし、いちいち湯を汲む動作は意外と面倒。子供がいる世帯では特に大変です。
業者さんにユニットバス式またはシャワー付きのバランス釜に交換してもらうことも可能ですが、なかなか高価な代物で購入を戸惑ってしまいます。
そんな時に便利なのが「ジェットクイックシャワー」。この商品を浴槽に取付けるとバランス釜にシャワーが簡単に取り付けられます。
ここでは、団地や古い住居のお風呂にシャワーを取り付ける方法、使い方、使ってみた感想をご説明します。
用意する物:ジェットクイックシャワー
ジェットクイックシャワーとは2穴タイプの浴槽に取付ける簡易シャワーです。
使い方は沸き出し口に本体をセットして、水で熱湯を冷ましながら水圧で適温のお湯をシャワーヘッドから出します。
もちろん、本体を付けたまま追い焚き可能です。工事をしてもらうことを考えると安価に取付けれて便利。何度も手桶で湯を汲まなくてよくなり快適ですよ。
シャワーが出る仕組み
構造は単純で沸き出し口から出る熱湯を水で冷ましながら、水道水圧を利用したジェットポンプで汲み上げて湯をシャワーヘッドから出す仕組みです。
シャワーの温度は熱湯の取り入れ量をつまみの開閉で変化させ、湯と水の混ざり具合によって熱くしたりぬるくしたりを調整します。
「シャワー/風呂」の切替シャッターが付いており、本体を取り外さずに湯を沸かしたり追い焚きしたりも可能です。
しかし、湯を沸かしながら使いますので、浴槽に湯または水で本体全体が浸かっていないと空焚き状態となり使えません。
また、循環穴の位置や形状によってはジェットクイックシャワー本体が取付けできない場合があります。
取付不可の例
- 1つ穴
- タイルの浴槽
- 浴槽面が凹凸
- 低水圧地域
- 循環穴が浴槽の角、底面に近い
- 循環穴との距離が近い
- フランジがない循環穴
ほとんどの浴槽に取付けできますが、一部取付不可の場合があります。購入前に商品詳細ページでご確認をお願いします。
バランス釜にシャワーを取付ける方法
バランス釜の浴槽にジェットクイックシャワーを取付ける方法をご説明します。
キャップを取り外しパッキンを切り取る
沸き出し口(湯側)にキャップが付いている場合は取り外しておきます。爪で引っかかっているだけですので、つまむように引っ張ると簡単に外れます。
もしフランジ部にゴムパッキンが飛び出ていたら本体と合体する「ホルダー」が取り付けられません。浴槽を傷つけないよう気を付けながらカッターナイフで切り取ります。
余分なゴムパッキンを切り取れました。ホルダーのツメがフランジに引っかかれば良いので、適当に切り取るだけでも大丈夫です。
カッターナイフの刃を短く出して「ザクザク」とスジを入れるように切り取ると上手くいきます。奥側まで全部が切れなくてもある程度、切込みが入れば手で引きちぎれます。
ホルダーを取り付ける
ホルダーをフランジに取付けます。爪で上下方向から挟み込めたら付属の六角レンチを使用してボルトを締めましょう。
吹き出し口の大きさによっては、そのままホルダーが入らない場合があります。その時は、一度ナットを完全に取り外してホルダーを全開に広げてから取り付けます。
本体を取り付ける
先ほど取付けたホルダーの樹脂部に溝が掘ってあります。本体裏側の取付つまみ凸部とホルダー樹脂部の溝を合わせて時計回りにまわして固定します。
取付けつまみは45度ほどしか回りませんでした。
簡単に固定できて少し不安になりますが、本体を揺すってみてグラつきがないようでしたらOK。本体取付が完成です。もちろん、使っていて取れてしまったことは一度もありません。
ゴムパッキンの処理以外は簡単ですね。
蛇口ニップルを取り付ける
次はプラスドライバーを使って水道蛇口からの水圧を利用するための「ニップル」を3本のネジを締めて取り付けます。
ノズルを避ける切り欠きが付いているので取付方向に注意してください。ネジは力強く締めなくても大丈夫です。
シャワーヘッドとホースを本体に接続する
あとは上側にシャワーヘッドのホース、下側に水道ホースを接続すれば完成です。
作業時間は10分ほどの短時間で終わりました。必要な工具はプラスドライバーとカッターナイフくらいですぐに取付けられます。
水道側のホースが異様に長くて湯船に浸かる時に邪魔になります。
蛇口から本体までの距離によっては適宜カットして調整しましょう。
完成
シャワーが付いていない団地のお風呂に無事シャワーを取り付けることができました。水圧は決して強いとは言えませんが、無いよりは全然良いです。
ちなみに付属しているシャワーフックの固定方法が「ビス止め」または「接着剤で貼り付け」です。
どちらも壁に影響があるため、耐水耐熱の強力両面テープを用意して壁に貼り付けたところ、2日で「ガシャーン」と落ちてしまいました。
ビスや接着剤を使わない場合は、取付け簡単な磁石や吸盤式の強力なシャワーフックを別途用意することをおすすめします。
現在は強力に張り付く吸盤式を使っています。
バランス釜に取付けたシャワーの使い方
ジェットクイックシャワーの使い方をご説明します。
まず、本体全体(沸き出し口)が浸るまで水を貯めます。画像のような水位が低い場合では空焚き状態となり、沸かすことができなかったり風呂釜を傷める恐れも。
余裕を持って水を貯めます。
切り替えシャッターが「シャワー」になっていることを確認して、水道蛇口から水を出しながらバランス釜を「沸かす」または「追い焚き」にします。
うちのバランス釜は「追い焚き」しかありませんので追い焚き状態で使用しています。(ジェットクイックシャワー本体のシャッターを少し開けて)
あとは温度調整のつまみで湯温を調整しながらシャワーを使います。
蛇口から水を出して足していますが、切り替えシャッター(本体の隙間)からも浴槽の湯を吸い込んでいきますので、水位が徐々に下がっていきます。
本体(上穴)が露出しないように時々ホースを外して給水しながら使いましょう。止める時は風呂釜を消火(種火に)してから水道を閉めます。
使ってみた感想
やはり、手桶で体を流すよりもシャワーで一気に流した方が快適です。沸かしながら出すのでアツアツの湯に調整できるのも良いですね。
誤解を招かないようにご説明しておくと、冬に湯船の水が冷たいまま使用するとバランス釜から出る湯が水で冷やされたぬるいシャワーになります。
つまり、冬は湯船の水を十分に沸かさないと熱いシャワーが出ないということ。この点は知っておいてください(夏は水温が高いので熱い湯が出ます)。
本体を外さずに追い焚きもできる、工事不要なジェットクイックシャワーは非常に便利な商品だと思いました。
難点としては…
- 水圧が弱い(まあまあ)
- 水位が下がる
が挙がります。
水圧が弱い
蛇口の水圧が強くても内蔵ポンプで汲み上げる(押し出す)方式は、シャワーヘッドからの水圧がどうしても弱くなります。
チョロチョロという訳ではないですが、勢いが弱くてシャワーとしては少し物足りません。
試しに低水圧用のシャワーヘッドに交換してみても、それほど勢いは上がりませんでした。特に高い位置からでは余計に弱まります。
座ったままの使用でも強くなることはなく、一般的なシャワーほどの水圧には期待しないでくださいね。
詳しくは以下の記事にまとめています。
水位が下がる
もう一点の「水位が下がる」は、家族で使うと一気に浴槽の湯が無くなること。
溢れるギリギリまで貯めた状態から1人目が長めにシャワーを使うと、沸き出し口の上付近まで湯が減ります。
2番目以降にお風呂に入る人は給水しないといけませんので、湯温が下がってしまい湯船に浸かろうと思うと追い焚きが必要です。
大家族では「シャワー+頻繁な追い焚き」で水道代とガス代が高くなってしまう恐れも。
そして、十分な水位が必要ということで、湯または水が浴槽にない状態ではシャワーが使えない不便さがあります。
例えば、夏場に外出から帰ってきて「シャワーを浴びよう」と思っても、浴槽が空っぽではすぐに使えません。水を貯める待ち時間が必要となります。
まとめ
高額な工事が不要で簡単にシャワーを設置できるジェットクイックシャワー。
便利な反面、不便な面もあります。操作を誤ると風呂釜を傷めたり熱湯が出てしまうので、子供一人で使わせるのはちょっと危なっかしいところも。
「取付簡単で比較的安価」と「水圧、水位」のメリット・デメリットを比べて、メリットの方を大きく感じるのであれば買いです。ウチは取り付けて良かったと思っています。
しかし、水圧が低い地域(0.2Mpa以上が必要)では使えず、寒冷地ではシャワー温度が十分に上がらない可能性もあります。
試しに簡易的に取り付けてみるのか、どうせならリフォームするのか、お風呂の使い方や予算、家族構成で検討してくださいね。